私は20歳の時、両目とも、角膜の病気になりました。
だんだん視力が落ちていき、あらゆる光を眩しく、痛く感じるようになり、
明るい所を避けて、仕事以外の外出はほとんどしない日々を過ごしていました。
病院の先生には、いつかは「角膜移植」が必要になると言われました。
まずは右目の手術日が決まりましたが、何事にもやる気が起きず、
視力を失ってしまう可能性にひたすら怯えていたある日、
「もし右目の手術が失敗しても、まだかすかに左目の視力は残っている。
だから、行きたいと思うところには、行けるうちに行っておこう」
と考えるようになりました。
そして、痛む目を細めながら旅行ガイドブックを読み漁り、
「ここに行きたい!」と思ったのが、アメリカネバダ州、ラスベガスでした。
ネオンが鮮やかな、世界中で最も明るい夜を持つ街。
「この景色を見るまでは視力を失いたくない」
その思いを励みにして、手術に臨みました。
手術は無事成功し、僕はラスベガスに行きました。
ガイドブックで見ていた景色は、実際には想像をはるかに超えるスケールでした。
風に揺れるネオンには奥行きと立体感があり、人が造るものの素晴らしさを感じました。
その景色を自分の目で見ることができた喜びから、色々な方への感謝の思いとともに、
「この感動を多くの方に伝えたい」という強い気持ちが生まれました。
海外旅行に行くということは、そう考え始めた時からすでに、
「生き甲斐」になるぐらいの特別な出来事になります。
出発までの期間、旅行を楽しみに思う気持ちは日常生活の励みになり、
そして現地での経験は、自分だけのオリジナルな宝物になります。
インターネットで外国のことを「知る」ことはとても簡単になりましたが、
実際に行くことでしか味わえない感動が必ずあります。
また、旅行を通じて知り合う方々との出会いは、
旅の楽しさや魅力を何倍にもしてくれるものです。
多くの方のアメリカ旅行、海外旅行の機会を創出するお手伝いができたらいいな。
そして海外旅行を日々の生活の励みにされる方が増えるといいな。
そのような思いにご賛同いただいた方々と発足したのが、「アメリカ旅行協会」です。
一人でも多くの方のアメリカ旅行が実現し、その積み重なりによって、
今よりもっと「海外旅行がしやすい社会」になっていくことを願っています。
特定非営利活動法人アメリカ旅行協会 代表理事 遠山まさし