ヨリさんのラスベガス旅行記
(1999年11月19日〜28日)

 

【はじめに】

 同窓生の友人Sと2年ぶりにラスベガスに行ってきました。『いかに滞在を楽しむか』をテーマに最新情報を添えて旅行記をお届けしますので,しばらくお付き合いください。なお、職場の新聞に連載したため、8部構成になっています。ちょっと細切れだけど、ご容赦ください。

 

【第1部 ヨリと友人S、ラスベガスへ乗り込む!】

 今ラスベガスには各航空会社が乗入れ,成田からの直行便もJAL,NWの2社が参入し,事前購入の11・12月なら6〜9万円位と国内線並です。現地ホテルも冬場は1室平均$100もしません。中には特価で$39なんてホテルも…。

 2度目のラスベガスに降り立ったのは朝の9時30分。同日夕刻4時過ぎに成田を飛び立ったというのに。ざらつくような不思議な感触が残る。バゲージ待ちの時間を嫌い,バックパック一つだけにした荷物がTシャツ1一枚の肩にくい込む。
 長距離の飛行機の中では早々に爆睡してしまうか,一睡もしないかだが友人Sは前者,オレは後者。今日は1日が42時間になることを覚悟している。しかし予想どおり暑いほどのド・ピーカン天気に心がはやり,一瞬で眠気も吹っ飛んだ。
 ふと,先程の入国管理官とのやりとりが思い出される。

自分:おはよう!

係官:やぁ,おはよう。今回の滞在日数は?

自分:11日です。

係官:えっ?その間ずっとここ(ラスベガス)か?

自分:ん−,ザイオン国立公園にも行ったりもしますが,ほとんどラスベガスです。

係官:そうか。ところでおまえさんは英語を話せるようだが,どこで習った?

自分:いいえ,中学と高校で学んだだけですよ。どうして?

係官:いやいや,そいつぁ!

 饒舌なアメリカ人が絶句するのを初めて見た瞬間だった。
 はて,そういえばヒアリングに何の不安もないし,なぜだろう。そこまで考えて,昨年末から4カ月ほど受講した勤務先斡旋の「窓口英会話研修」に思い当たる。「なるほど」と独りごち,レンタカーオフィスを訪ねるため連絡シャトルバスのステップを上った。
「熱い日々の始まりだ。」

 

【第2部 アメリカドライブについて】

 アメリカでの運転には,国際運転免許証(試験場で即日発行)と日本の免許証が必要です。また,レンタカー契約の際は要・不要の保険が混在しており,出発前の調整が欠かせません。右側通行に慣れたらフリーウェイを飛ばしてみませんか?

 真っ正面,南東の方向から朝日を浴びながらレンタカーをチェックアウトする。早朝到着となる直行便の醍醐味だ。乗継便では夕日を背負う羽目になる。
 パラダイスロードを北上,すぐ左折しトロピカーナアベニューを西に向かうと,正面に巨大ホテルMGMグランドが迫ってくる。外観は緑色の階段ピラミッド,正面に守護神,黄金のライオンを配する。客室数5005室はラスベガス最大だ。
 今日宿泊のホテルで随時チェックイン可能だが,まだ日は高い。初海外の友人Sも運転感覚がしっくりしない様だし,ここはひとつ生活用品の買出しを兼ねてアウトレットまでドライブを決め込み,ラスベガスブルバード(通称ストリップ)を南下する。

 今回の契約車,フルサイズ級はダッジのイントレピッド。サスが緩めなのはイマイチだが,全体の乗り心地は及第点か。ストリップが予想外のガラガラだったため,ものの10分でベルツに到着する。
 この一大アウトレットは2年前とあまり変わりなく,ひたすらデカい。店の種類,品揃えも豊富で,価格は日本とは雲泥の差,抜群に安い。が,お目当てを絞らないと1日くらいは軽くつぶれてしまう。予想されてしかるべきであったが友人Sが買物の虜となる。前回の自分を見ているようだ。ましてやSは「買物なんてしない!」と抜かしていたはずなのだが…。(笑)
 男の我々がこうなるのだから,女性の皆さん,ご注意あれ。
 ベルツで面白いものを見つけた。ネイティブ(昔風に言うとインディアン)の工芸品だ。$70革細工の壁掛けに一目ぼれしてしまったが,帰りの荷物の状況を考えて涙の別れ。
 結局サムソナイトを$126で購入。その容量を基準にモノを買うことに決めた。(この時は本気だった)小物と着替えを4日分だけ購入。(中日ごろに洗濯予定だったのだが…)

  

【第3部 ホテルの紹介とラスベガス滞在】

 ラスベガスは今,空前のホテル建設ラッシュです。新テーマパークならぬホテルが続々オープン。最新では『パリはラスベガスにある』がキャッチの「パリス」(今年9月)。イタリアのコモ湖畔の保養地のイメージの高級リゾート「ベラッジオ」(昨年末)など。他に,「ベネチアン」(今年5月),「マンダレイベイ」(今年3月),「アラジン」(来春予定)があります。

 緑の塔,MGMホテルの18階にチェックインしたが未清掃の部屋だったため,フロントにクレームを入れ20階のエレベーターそばに変更。景色の方角は前の部屋の方がよかったが,MGMではエレベーターの近さを重視。何しろ客室数5005室はギネス公認,迷子になるホテルの異名を持つのだから。
 さてカシノはというと,ラスベガス帰郷(ん?)に浮かれてしまい,いきなりマイナス$500。だが,ただでは起きない。各カシノにはスロットマシンクラブというものがあり,登録するとカードがもらえる。このカードをスロットマシンなどに挿して遊ぶとポイント次第でキャッシュバックが受けられるのだ。MGMでは現金と記念品が選べるため,クラブ限定の帽子とTシャツをもらう。が,ちと寂しい。

 翌朝,時差ボケ皆無で8時に起床。今日はザイオンへ行く。ザイオン国立公園はグランドキャニオンの北に位置し,ラスベガスを拠点とした一泊旅行には最適の,大自然の宝庫だ。
 その前に腹ごしらえ。MGMのバフェに向かう。バフェとはバイキングみたいなもの。格安料金で各ホテル自慢の料理を思う存分食べられ,ソフトドリンクも無料。MGMの朝食バフェはお一人$9.60。大満足。(昼,夜は少しずつ高くなる)

 ひたすら一本道の「I−15」を北へ向かって走る。BGMはSの趣味のロックとオレが昨日買った米国版ポケモン。約1時間半,オートクルーズにまかせ,車を真っすぐキープする。途中のトラックターミナルで2頭の犬を連れた男性がのどかに車を点検している少し後ろで休憩。
 アリゾナ州を横切り,ユタ州に入ると16マイルで「UT−9」東に。ここまで来ればあと30分。途中の町ハリケーンで前回と同じスーパーに入り飲食料を補給。別荘地スプリングデールを抜けると,さぁ,ザイオンだ! 

 

【第4部 ザイオン国立公園 ナローズ】

 ザイオンの南口からは北へ向かうザイオン渓谷と東へ向かうザイオン=マウントカーメル・ハイウェイがあり,ロッジは渓谷の中ほど,岩壁のすぐ足下にあります。冬場は$85のホテル棟と$95のロッジがあり,パソコンで予約可能です

 ロッジは禁煙室の予約だったが,「この時期の室外での喫煙は寒いから,できれば喫煙室に」とフロントの婦人に告げると,「私も吸うから分かるわよ」と即答で喫煙室に変更してくれた。ラスベガス以外では喫煙には厳しいだけに思わぬ『あたたかい』言葉だった。部屋に行ってみると,前回の旅行のホテル棟と違い二戸一棟建てのロッジで,空調とは別に暖炉(!)があった。
 荷物を置き,渓谷の最深部「ナローズ」に行く。車で15分も走ると駐車場があり,ここから片道30分程度の徒歩になる。ナローズは冬は閉鎖されると聞いていたため,「さて,どうか?」と進むと,多くの家族連れが行き交っており,一安心。あとは,日没の関係。西海岸のパシフィックタイムと違い,ここはマウンテンタイム。2時半過を指していた時計の針を1時間進めると,もう3時40分。渓谷の闇は,いささか剣呑であるため,急いだ方がいい。熊の1頭にも出くわすかもしれない。

 歩を進め4時になろうという頃,いきなり目の前が開けた。それまで川を迂回して岩肌沿いの小道を歩いていたが,川に突き当たるようにして道が消え,川が新たな道になる。
 左右にそそり立つ岩壁に挟まれ,玉石敷きの浅い川が上流へと旅人を招く。暗い渓谷のはるか先には夕日に照らされた白い山が,冷たい川を越えてそこにたどり着く者への勲章のように,神々しいほどに美しく輝いている。しばし,立ち尽くす。
 3度目は絶対に夏に来て,この奥まで行こうと決め,後ろ髪を引かれながらも元来た道を帰る。途中,余裕が出て来たのか面白いことに気が付く。岩壁には湿地を好むシダ類,砂地には乾燥を好むサボテン,川辺には葦が生えているのである。植物層がこれだけ入り乱れているのも,一部は昼なお日が差さない渓谷の特殊な地形のためかと思うと,雄大さが感じられた。
 さて,夕暮れも近づいた肌寒いナローズでも,さすがに熊は出なかったが,鹿が川辺の草をはんでいた。

 

【第5部 ザイオン国立公園から再びラスベガスへ】

 ザイオンへの道程はラスベガスのどこからでも乗れるフリーウェイ「I−15」を北へ約200マイル,ユタ州に入り16マイル目の出口で「UT−9」東へ。あとは「UT−9」の指示に従って進めば,自動的にザイオンに到着です。
 未明に降った雨で,道も山も空気さえも輝きを増し,冴えた空気はピーンと音がしそうなくらいに張りつめていた。思い起こせば,ザイオンの朝は前回もこうだった。
 昨日お世話になったご婦人に礼を述べ,土地の土産を見繕いロッジを出るとザイオン=マウントカーメル・ハイウェイに向かった。渓谷が谷あいの道ならば,こちらは山あいの観光路だ。ところどころにビューポイントがあり,駐車場がある。窓を開けないと暑いほどなのに,北向きの斜面にはところどころ雪が残り,岩肌から色彩を奪う。中でも暗いトンネルの中に何か所か,外に開いた窓がある。その一瞬の光が美しい。(トンネル内は駐停車禁止どころか,時速15マイル以下の走行禁止)
 時間の関係から往復40分ほどの行程を2時間程度に収めて,ラスベガスへ向かった。

 夕刻のラスベガスは,早くもネオンの点滅が観光客を飲み込もうとしていた。なかでも一際,目を引く一角がある。広大な湖とエッフェル塔がストリップを挟んで向かい合う,ある意味で異様な光景だ。本日のお泊まりは,このエッフェル塔の「Paris」(9月にオープン)だ。
 昨日までのホテルは直接インターネット予約をしているため問題はなかったが,実は今日以後は現地のディスカウントのホテル業者で押さえたため少し不安がある。しかし,フロントでの扱いは正規料金と同様で,1泊$20でアップグレードできるとのこと。一も二もなく申し込む。ルームチャージ用のカードとともに,ブルーのカードキーが2枚手渡される。ブルーはストリップビューの証し,裏側では白いカードキーになる。
 20階のホールから3つの部屋,2003号室。落ち着いた雰囲気の部屋に入り,正面の大きな窓のカーテンを開ける。「見えた!」 真正面にエッフェル塔,奥にはストリップのネオンとテールランプの洪水だ。

 

【第6部 お買い物天国:ラスベガス】

 ラスベガスの南には主に観光客向けのベルツ,さらに南にはファッションモール,東には地元民も多数利用するブルバードモール,品揃えならストリップの各ホテルに専門店街があり,世界中の何でも揃うのです。スーパー巡りも面白いです。

 今日は朝からお楽しみ,ブルバードモールに行く。デパート4軒を含む巨大なショッピングモールが形成され,さらに南北数マイルにわたり大規模店舗が連なっている。最近パソコンのネットワークで知った場所だが,いかにと覗いてみる。
 頼まれものの「クリニーク」は市価の半額以下。アメリカで大ブレイクの「ポケモン」グッズ。「ギャップ」も日本の半額,サイズ豊富。特価品のある大型書店,家電店もスケールが違う。カレンダー専門店なんてものまである。「トイザらス」に至っては日本のお店の価格は詐欺のようだ。もう数え切れない!
 このような勢いで後先を考えずに一日居座った結果,別送品発送のため郵便局を探す羽目になった。(当初のスーツケースの容量の事など宇宙の彼方に飛んでいってしまった。) ところがよくできたもので,郵便局はショッピングセンターの外れにあった。後で気づいたが,箱詰めまでできてしまえばホテルでも郵送の取り次ぎをしてくれる。(2週間ほどかかる) 割増感はあるが「DHL」なら4日程度で日本に届く。

 両手に荷物を抱え車に戻ると,トラブルが待ち受けていた。車の右前輪がパンクしているのだ。正確にはパンク(フラットタイヤ)なのか空気漏れなのかは分からないが,とりあえずスペアタイヤに交換して修理依頼に行く。営業所に行くと今日は修理はできず,代車を出すという。ところが同一クラスがないため無償アップグレードになり,出て来た候補が次の3台。

  ラグジュアリー:クライスラー・LHS

  7人乗ミニバン:ダッジ・キャラバン

  オープンカー :クライスラー・セブリング

 イントレピッドですらその大きさを持て余し気味なのに,ラグジュアリーはパス。ミニバンも2人では贅沢すぎ。『ここはやっぱりオープンカー!』と意見が一致した。アメリカの風を全身に受け,ラスベガスの町へと乗り出したのであった。

  

【第7部 ショーとアトラクション】

 ラスベガスの有料ショーはマジックイリュージョンをはじめリサイタル,スペクタクル,サーカスなど種類も豊富です。値段も最高$100から$20位まで,果てには食事をするとレビューショーの無料チケットがもらえるところまで…。

 開演前のシアターは観客のさざめきにあふれていた。深夜10時にもかかわらず,我々のいる3階席まで満席だ。定刻になってブザーが鳴るような無粋なこともなく。それは静かに始まっていた。『観客の視線が動いた!』

 ・階下にピエロが現れ,観客に傘をもってくれと招く。

 ・何事かといぶかりながらも,指定された場所に立つ観客。

 ・途端,天井から観客の傘めがけ雨の矢が降り続ける。

 ・途方にくれる観客を尻目に,ピエロは次の犠牲者を捜す。

 ホテル:ベラッジオのショー”O”はこうして始まる。階下での悪戯に満足したピエロが幕に消えると,いきなり図上から乙女が回転しながら降りてくる。中空から飛んだ男が,たった今まではステージだった場所に飛び込み,水しぶきを上げる。ステージ上でも次から次にアクロバットが繰り広げられる。合間には先程のピエロが笑いを誘う。
 断言する。これほどのショーは見たことがない。
 ただし”O”には,最大のネックがある。予約がなかなか取れないのだ。宿泊客は90日前から予約を受付するが,そうでないと30日前からの予約となり,いい席はあらかた無くなり,3階席$85くらいしか残っていない。たとえラスベガス1高い$100でも,1階席で見てみたいものだ。最後の頼みとしてキャンセル待ちというラストチャンスもあるが、開演直前まで並んで、結局、席がないこともあると覚悟したい。それが分かっていても、もう1度、2度と繰り返し見たいショーだった。

 ラスベガスのもう一つの楽しみに各ホテルの無料アトラクションがある。海賊とイギリス海軍との壮絶な戦いが繰り広げられたり,湖狭しと噴水が曲に合わせて舞い踊り,熱を感じるほどの火山の爆発や,ギリシャ神話の神々が語り出すなどなど。昼に夜にと様々な呼び物が無料で提供されているのだ。
 オレはベラッジオに滞在した間,多くの時間を噴水の見渡せる部屋で過ごした。夜のラスベガスの寒さに震える観光客を尻目に,専用チャンネルから流れる音楽に合わせて踊る噴水を,ささやかな優越感に浸りながら,暖かな室内から眺めていた。

  

【第8部 最終回はおまけ】

 これまで必死に,沢木耕太郎の真似っこしてましたが,最後はお笑いテンコモリにしてみました。

1 濃いジュース…って気付よ!事件
 前回の旅行時,友人のOくんがスーパーで買ったクランベリージュースを半分位飲んでから,「甘くておいしいけどちょっと濃いなぁ」というので,見てみると8倍濃縮の原液だった。

2 サンクスギビングの馬鹿ぁ!事件
 今回旅行の中日23日に,年中無休のコインランドリーに行ったら,サンクスギビングデーだけは休みだった。洗濯物がぁ!(クリスマス休暇中もダメダメ)

3 サラダ大盛り・アイスクリーム大盛り事件
 レストランでコース料理を頼んだが,最初のサラダの量の多さにまいってしまい,メインがほとんど入らなかった。数日後,同じことをアイスクリームでやってしまった。アメリカ人よ,君達はなぜアイスをバケツで食えるのだ!しかも食後に。

4 車ガリガリ事件
 目の前の車が左折車線に割込んだが,その前の車の後側面をガリガリガリと随分と長いこと削ってから,止まった。車から金髪の奇麗なネエちゃんが事も無いように降りてきた。(コ、コワい)

5 ヨド〇シ・カメラ パリス支店事件
 パリスでデジカメを使い記念撮影をしていたら,背後からアメリカ人夫妻に「どう使う?」「記録媒体は?」「パソコンへの転送法は?」等々,矢継ぎ早の質問にあい,にわかカメラ店員になってしまった。

6 やっぱり別送品2箱事件
 お土産はスーツケースに入るだけと決めていたのに,その他に別送品ダンボール2箱もできてしまった。買い過ぎ。(笑) 

7 ええっ動物検疫ぃ?事件
 私が成田で税関手続きを済ませ,次の友人Sの番を待っていると『動物検疫へ』との指示。スワ,猫でも連れ帰ったかと思ったが何のことは無い,サラミが引っ掛かったそうな。(せっかくのギフトパッケージもサラミだけを抜くためにズタボロ)

8 クレジット二重請求事件
 帰国してカード会社から請求書が。海外使用はトラブル多発と聞いていたので念入りに見るとやっぱり二重請求が。慌てて電話したところ無事返金。でも,気づかなかったら??? (後日、業者からも正式に返金の知らせが来たので、意外と誠実なのかも)

9 チップは26ドル事件
 個人の名誉のため,削除。ワハハ。ヒントは$14と$40は良く似ている。

  

【おわりに】

 今回もいろいろな所へ行き,無茶も含めいろいろなコトをしてきました。読んでいただいて、ありがとうございました。(勤務先の労働組合の新聞に8回連載)

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